
トリマ・ルータの選び方ガイド
公開: 2026年3月1日|更新: 2026年3月1日
テーブルの角を丸く仕上げたい、棚板にきれいな溝を掘りたい、装飾的な飾り彫りを入れたい。 そんな木工の仕上げ加工に欠かせないのがトリマとルータです。 このガイドでは、それぞれの特徴や用途に合ったビットの選び方をまとめました。
トリマとルータの違い
「トリマとルータって何が違うの?」という疑問はよく聞きます。 ざっくり言うと、トリマは小型で軽作業向き、ルータは大型でパワフルです。
トリマは片手でも操作できる小型・軽量の工具です。 出力は300〜500W程度で、回転数は30,000rpm前後。 テーブルの角の面取り、浅い溝掘り、飾り加工などの仕上げ作業に使います。 取り回しが良いので、加工する材料の上をスイスイ動かせます。
ルータは両手で操作する大型の工具です。 出力は1,000W以上で、回転数は20,000〜30,000rpm。 深い溝掘りや硬い木材の加工、大きなビットを使った本格的な加工に対応します。 重量があるぶん安定性が高く、深い切り込みでもブレにくいのが特徴です。
DIYならトリマで十分対応できます。 面取りや浅い溝掘りなど、よく使う加工のほとんどはトリマでカバーできます。 プロの家具製作で深い溝や大量の加工が必要になったら、ルータの出番です。 マキタの充電式ラインナップにはトリマとルータの両方が揃っています。
充電式トリマのラインナップ
マキタの充電式トリマは、電圧別に複数のモデルが用意されています。 コードレスなので電源の位置を気にせず自由に動かせるのが大きなメリットです。
40Vmax:RT001G, RT002Gは充電式でもパワフルなプロ仕様のモデルです。 有線式に匹敵するパワーがあり、硬い木材の加工や深い切り込みにも対応できます。 変速ダイヤルでビットや素材に合わせて回転数を調整できるのも魅力です。 プロの木工家具職人でも満足できる性能を持っています。
18V:RT51D, RT50DはDIYに十分なパワーを持つ軽量モデルです。 面取りや浅い溝掘りなら、このクラスで不足を感じることはまずありません。 18Vバッテリーを他の工具と共用できるので、バッテリー資産を活かせます。 初めてのトリマとしてはこのクラスが最もおすすめです。
14.4V:RT40Dは既存の14.4Vバッテリーをお持ちの方向けのモデルです。 性能は18Vモデルに準じており、バッテリーの互換性を優先する場合の選択肢です。
充電式トリマの最大のメリットはコードに引っかかるストレスがないこと。 トリマは材料の上を自由に動かす工具なので、 コードレスの恩恵が特に大きい工具のひとつです。
ルータのラインナップ
トリマでは対応しきれない深い溝掘りや大型ビットを使った加工には、 ルータが必要になります。
マキタの充電式ルータは40Vmax:RP001Gが唯一のモデルです。 充電式でありながらコード式ルータに匹敵する加工能力を持ち、 深い溝掘りやダドカット(溝加工)にも対応できるパワフルな1台です。
ダドカットとは、棚板をはめ込むための溝を掘る加工のことで、 家具製作では欠かせない基本技術です。 RP001Gなら1回のパスでも十分な切り込み深さが得られます。
テンプレートガイドを使えば、複雑な形状の加工も可能です。 型板(テンプレート)に沿ってルータを動かすことで、 同じ形状を何枚でも正確に再現できます。 量産品の製作やインレイ(象嵌)加工にも応用できる技術です。
ルータは重量があるため、作業台にしっかり固定した材料に対して使うのが基本です。 トリマとは異なり、片手での操作は避けてください。 両手でしっかり保持し、安定した速度で送ることが美しい仕上がりのコツです。
ビットの種類と用途
トリマ・ルータの加工バリエーションは、ビット(刃)の種類で決まります。 代表的なビットとその用途を知っておくと、工具選びの幅がぐっと広がります。
ストレートビットは溝掘りの基本となるビットです。 まっすぐな溝を掘るために使い、溝の幅はビットの径で決まります。 棚板のはめ込み溝や、看板の文字彫りなどに使います。
**ボーズ面ビット(丸面ビット)**は角を丸く仕上げるビットで、 最もよく使われるビットのひとつです。 テーブルの角を丸く面取りするだけで、手触りと見た目が格段に良くなります。 お子さんがいる家庭では安全面でも効果的です。
**角面ビット(チャンファービット)**は角を45度の斜めに面取りするビットです。 シャープな印象の仕上がりになり、モダンな家具に合います。
サジ面ビットは和風の柔らかい丸面を加工するビットです。 日本の家具や建具によく見られる、独特の丸みのある面取りができます。
V溝ビットはV字型の溝を掘るビットで、飾り溝やレタリングに使います。 フラッシュトリムビットはテンプレートに沿って材料を整形するためのビットです。 ベアリングがガイドとなり、型板と同じ形状を正確に削り出せます。
木工DIYでの活用シーン
トリマがあると木工DIYの仕上がりが「手作り感」から「作品」に変わります。 具体的な活用シーンを見ていきましょう。
テーブルの角を丸く面取りするのは、最も基本的で効果の大きい加工です。 ボーズ面ビットを使って角を丸く仕上げるだけで、 安全性も見た目もぐっと向上します。これだけでもトリマを買う価値があります。
棚板の溝掘りは、棚板をはめ込む溝を掘って強度を上げる加工です。 ストレートビットで溝を掘り、側板に棚板を差し込む構造にすると、 ビス止めだけの棚よりも格段に強くなります。
飾り棚の装飾加工では、ボーズ面やサジ面ビットで 棚板の前面に装飾的な面取りを施すと、高級感が一気に増します。
看板やネームプレートの文字彫りはV溝ビットを使って行います。 テンプレートを使えば、きれいな文字を木材に彫り込めます。
ドア枠の加工では、ヒンジや錠前の取り付けに必要な溝を掘ります。 テンプレート加工を使えば、同じ形状の溝を何枚でも正確に加工できるので、 棚板や部品の量産にも対応できます。
トリマを使うときのコツ
トリマは高速回転する工具なので、いくつかのコツを知っておくと 安全かつきれいな仕上がりが得られます。
ビットの出しろ(突出量)は慎重に設定してください。 深く切り過ぎると仕上がりが荒れたり、ビットに過大な負荷がかかったりします。 1回の切り込み量は2〜3mm程度にとどめ、 深い加工は何回かに分けて段階的に掘っていくのが鉄則です。
進行方向にも注意が必要です。 材料に対してビットの回転が「登り」になる方向に進めてください。 逆方向に進めると、ビットが材料に食い込んでキックバックが発生します。 具体的には、材料の外周を加工する場合は反時計回りに進みます。
テスト加工を端材で行ってから本番の材料に取りかかりましょう。 ビットの出しろや送り速度を端材で確認してから本番に臨めば、 高価な材料を無駄にするリスクを減らせます。
コレットナットの締め付けは確実に行ってください。 ビットの脱落は重大事故の原因になります。 手で軽く引っ張ってビットが動かないことを確認してから起動しましょう。
安全な使い方
トリマ・ルータは30,000rpm前後で回転する工具です。 安全に使うために、以下のポイントを必ず守ってください。
保護メガネは必須です。 木材の切削では大量の木粉や細かい破片が飛散します。 目に入ると非常に危険なので、保護メガネなしでの作業は絶対にやめてください。
防じんマスクの着用も推奨します。 トリマ加工で発生する微細な木粉は、長期間吸い込むと 呼吸器に影響を及ぼす可能性があります。 特に密閉された室内での作業では、防じんマスクを着けましょう。
回転中の工具に手を近づけないのは基本中の基本です。 ビット交換は必ず電源を切り、バッテリーを外した状態で行ってください。
加工する材料はクランプで確実に固定してください。 手で押さえながらの加工は、材料がずれて仕上がりが悪くなるだけでなく、 ビットに材料が巻き込まれる事故の原因にもなります。
ビットが完全に停止してから工具を置くようにしてください。 停止前に置くと、ビットが作業台を傷つけたり跳ね上がったりする危険があります。 長い髪や袖口の巻き込みにも注意し、体の周りをすっきりさせて作業しましょう。
よくある質問
DIY用途ならトリマで十分です。 軽量で扱いやすく、面取りや浅い溝掘りなどの基本加工はすべてカバーできます。 深い溝や大量の加工が必要になったらルータを検討してみてください。 まずはトリマで木工の楽しさを体験するのがおすすめです。
面取りや浅い溝掘りなら充電式で十分です。 40Vmaxモデルならかなりの深切りにも対応できます。 コードを気にせず自由に動かせるのは充電式ならではのメリットで、 特にトリマのように材料の上を滑らせる工具ではコードレスの恩恵が大きいです。
コレット径が合えば使えます。 マキタのトリマは6mm軸が標準で、一部のモデルは8mmにも対応しています。 購入時にコレット径を確認してください。 ホームセンターで売られているビットの多くは6mm軸なので、 入手しやすいのは安心材料です。
機種にもよりますが、1回のパスで2〜3mm程度が適切です。 深い溝は複数回に分けて掘ります。 トリマで安全に掘れる溝の深さは10mm程度が目安です。 それ以上の深さが必要な場合はルータの使用を検討してください。
30,000rpmで回転するため、それなりの音は出ます。 住宅街では日中の作業をおすすめします。 防音対策として集じん機との併用も効果があります。 集じん機のモーター音にトリマの音が紛れて、 体感的な騒音が軽減される場合もあります。






